書評|「服は口ほどにものを言う」無難になると生き方としてつまらない

鈴木晴生氏

 

久々にファッション関連の本を読んだのでレビューします。
老舗セレクトショップ、SHIPSの顧問である鈴木晴生氏の著書「服は口ほどにものを言う」です。
かなりズバッと切り込んでくる内容でしたが、なるほどと納得させられることも多く良書でした。
ファッションに無頓着な方にこそ読んでいただきたいと思います。ではどうぞ!

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著者:鈴木晴生氏とは?

 

まずはこの本の著者を紹介しましょう。

鈴木晴生(シップス・顧問)

1947年・東京生まれ。

ヴァンジャケット・テイジンメンズショップを経てシャンタルデュモ「エーボンハウス」の企画に携わった後に独立し、ブランド「メッサーフリッツ」を立ち上げる。96年にシップスに入社。企画部長・執行役員を経て、現在は顧問・メンズクリエイティブアドバイザーを務める。ファッション界の重鎮。映画への造詣も深い。

プロフィールより

戦後の日本のファッションシーンを牽引し、一時代を築いた方ですね。
私世代(87年生まれ)にはあまり知っている人はいませんが、ヴァンジャケットって言うとトラッド・アイビー全盛の時代の方には懐かしいのではないでしょうか?

私も持ってますが、まさにテイクアイビーの時代ですよね。ちなみに鈴木氏はこの本にも選出されていますよ。

私がこの方を知ったのはもうかなり前ですが、嵐の番組で

「チノパンを日本に持ち込んだのは私です」

と言っているのを見て、「すげーっ!なんなんだこの人は!」ってなったのが最初です。
現在、老舗セレクトショップ・SHIPSの顧問ということですが、トラッドなイメージの強いSHIPSにしっくりきますね。とにかくすごい方だということはわかりました。

 

男の着こなし最強メソッド・本は口ほどにものを言う

 

こちらは初版が2015年だったのですが、気にはなっていたものの手に取ることがなく、最近2冊目となる「こだわる男のスタイリングメソッド」(後で紹介します)が発売されたことを受けて、ようやく購入しました。

 

内容は?

 

目次です。
各項にそれぞれ細かく内容がありますが、大見出しだけ。

①服を甘く見てはいけない

②服を最強のツールにするための基礎知識

③服の目利きになるためのメソッド

④一目置かれる着こなし術

着こなしのサンプルや写真は2冊目に比べると少ないものの、要所要所で紹介されておりわかりやすかったです。
また、メインとなるのはスーツ・ジャケットの着こなしなのですが、ビジネスマンには非常に説得力のある話ですし、おおいに参考になると思います。

 

注目してほしいところ〜ファッションに対するマインド〜

 

私がこの本を読んで感銘を受けたのはファッションに対するマインド。
一発で頭から離れなくなったフレーズが

「無難になると生き方として面白くない」

すごい大事だなと。ファッションに限らず。そのあとにこう記してありました。一部抜粋します。

・とりあえず無難な服を着ておこうと思っている人が多い。

「無難でいいや」という人は、ミニマムなところで帳尻を合わせる人生を送る人だ。

単なる怠惰の裏返しで、「自分はこういう人間です」という主張がなく、自ら"エンプティ(空っぽ)"であることを露呈しているようなもの。

過激な言い回しではありますが、小さなところにも気を配ることが大事だということ。
お金をかけるとかでなく、シチュエーションや相手を浮かべながら身だしなみを整えるということは何かということを語られていました。
書いてある内容がごもっともすぎて、ぐうの音も出ない感じです(笑)
ファッションがいかに生活の中で、対人関係などに影響するのかということは勉強になると思います。

 

私が感じるファッション感覚の流れ

 

もちろんファッションは自由。だけど・・・

 

前提としてファッションは自由です。これは誰がなんと言おうとね。でも最近、SNSなどを通して

「フォーマル?誰が決めたの?俺には関係ないぜ!」

みたいなの多いなーと。

「フリーランス最高!会社員?オワコンだぜ、なんでも自由だぜ、おんなじ服装なんて古いしダサい!」みたいな。一度ツイッターで結婚式に私服で行ってた人がいたんだけど、こう思いました。

こいつ救いようがないバカだなって。

いやいや、お前主役じゃないしね。主賓に恥かかせんの?って思うんですよね。
別に自分が恥かくのはどうでもいいけど「呼んでくれた主役に恥かかすってお前どうなの?」って話ですよ。
周りには会社でお世話になってる人もいるかもしれないし、相手のご家族もいるだろうし。最近の「過去は古い!新しい時代、自由サイコー!」ってのは別にいいけど最低限のマナーは守ったほうがいいと思います。私は。

 

ファッションにも歴史がある

 

別に新しいことや古いならわしが絶対ではないと思ってます。
不必要なものもたくさんある。
ですが、ファッションにも当然歴史があって、守っていくべき部分も多いはずです。先人が研鑽を重ね、文化と伝統を重んじて未来に残したものは財産だと思うんですよね。とあるツイッター上のインフルエンサーが

「何十万も払って振袖にお金かけて、成人式を一生の思い出にする必要ある?冠婚葬祭も」

的なこと言ってたんですがね。言いたいこともわかるんですが。
何でもかんでも難癖つけてんじゃねーよ。って話です。
親子の絆、これまでの歩み、独り立ちを迎える新成人としての船出。それぞれにいろんな想いってものがあるんだよ。日本の伝統文化でもあり、大切な儀式だとこの日を待ちわびてきた人にお前はなに

「意味ある?」

とか言ってんだよと。
壊すべき古い思想もあれば、守るべき伝統もあるんじゃないのかなーと思うわけです。
話がかなり逸れましたが、この本を読んでそう思いました。ファッションが生活習慣の中で大きな意味を持った時代もあります。
守るべきものは守り、後世に残していきたいものです。

 

まとめ:ファッションに興味がないあなたへ

 

後半はかなり個人的な感情が爆発してしまいましたが、個人的にはそんな熱い想いを引き出してくれる良書でした。

ファッションなんか興味ないかな。

自由でいいんだよ、他人なんか関係ねえ!

服なんかなんでもいいでしょ。

そんな方達にはぜひ一度読んでいただきたいなと思いました。
なお、著者の2冊目であるこちら↓↓↓

写真が豊富に掲載されており、スタイルブックのような仕上がりなので、視覚的にも楽しみたい方はこちらをオススメします。ファッションも案外奥が深いものですよ。

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