植物の育成にあたって切っても切り離せない存在である、"植木鉢"。
おしゃれなポットに注目が集まる中、園芸家・趣味かの方達には馴染み深く長年親しまれている鉢があります。それはスリット鉢。
植物を生業とする方達から人気な理由の謎は何でしょうか?とんでもないポットと言われるその植木鉢の秘密を探っていきます。
おしゃれなポット特集については下の記事を参照ください。
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目次
スリット鉢とは?
まずスリット鉢のことがよくわからない方のために、初めからご説明していきます。
スリット鉢の素材と形状
スリット鉢は主に硬質ポリ素材(プラスチック)の鉢です。
形は四角形・六角形・八角形など様々。そして名前が示す通り特徴的なデザインが鉢底からサイドに入る切れ込み・スリット。
後ほど説明いたしますがこのスリットが非常に重要な役目を果たしています。
元は日本産まれの鉢ですが、現在は世界中で使用され大変ポピュラーな植木鉢です。
カラー展開
カラー展開も豊富です。
グリーン・ネイビー・ブラック・ホワイトなどがありますが、比較的どの取扱店舗でも見かけるのはグリーンではないでしょうか?
色による違いは見た目だけではありません。ブラックは光を集めやすいため鉢内の熱が上がるなどの特徴があるようです。多肉系の中でも塊根植物をされている方は好んでブラックを使う人が多いようです。
スリット鉢のメリット
スリット鉢のメリットとはどこにあるのでしょうか。
根張りがいい・サークリングしにくい
最大の特徴とも言えるのがサークリングしにくいということ。
サークリングとは、根がぐるぐると渦を巻いている状態です。なぜこの状態が良くないかというと、効率よく根を張れていないからです。
植物の根は、水を吸い上げる為に伸びていきます。この長く無駄に伸びた根が絡まる事で、植物が効果的に水分を吸収できなくなるのです。
植物は大地に、下に下に根をはるのが普通。下に向かって樹形図のごとく伸びるのが正常なんです。
上の画像が検証結果です。
左が通常の鉢、右がスリット鉢です。根が動いている向きが明らかに違うのがわかりますか?
スリット鉢の横のスリットから土の中に光が入る事でこのように効率よく根を張ることが出来ます。この自然な伸び方だと中心部に根が綺麗に生えます。ここまで違うと成長速度や健康度も大きく変化が。
ポットで育成する植物には非常に良い環境だということが分かりますね。
水はけが良い
スリットが深く入る事で水はけが良くなります。
そうすると鉢内部の水分が均一になる為、鉢内環境が格段に良くなります。
逆に水はけが悪い鉢だと水分が抜けきらずに根腐れを起こす可能性があり、植物が枯れる原因になってしまいます。いくら高価でおしゃれな鉢でも、せっかく大事に育てている植物が枯れてしまっては意味がありません。
その植物にあった最良の住まいを作ることが私たち育てる側の使命でもありますからね。
鉢底石が必要ない
これは水はけにも関係していますが、通常植え込みをする際は鉢の底に鉢底石を入れます。
鉢底石を置くことで排水性・通気性を整えるのです。特に水はけが重要な蘭などの植物は多めに必要になります。
先述の通りスリット鉢には深くしっかりとした切れ込みがあり水はけが良いです。そのような理由で鉢底石を準備する必要がなく均一な土壌環境で育てることができます。
コストパフォーマンス
スリット鉢はもともと生産者向けに作られた鉢です。
多くの苗を管理する為に大量に低価格な鉢が必要になります。そこで開発されたスリット鉢は、大量生産が可能で安価な価格になっています。ホームセンターなどでも、セットで非常に安価で手に入りますよ。
個人でも大量に管理する方(実生する方)や、鉢にお金をかけたくない方などには非常に便利です。
軽くて扱いやすい
非常に軽くて持ち運びも楽です。
品種によっては一年中動かす必要がないものもあるとは思いますが、温度管理が必要な植物は季節ごとに場所を動かす必要があります。また、日照問題でも場所移動は必須。住まいによっては潅水(水やり)のために場所を移す必要もあるでしょう。
軽いということはそれだけ手間もかかりませんし取り扱いがラク。形状も指がかかりやすいように工夫されています。
また、専用の容器もあるので大量に実生苗を管理している方はそれ専用に使う人も多いですね。
スリット鉢のデメリット
一見、有能な万能鉢ですが死角はあるのでしょうか?
メリットだけでなくデメリットもしっかり探っていきましょう。
自重がない・軽い
先程は軽いことをメリットとしてあげましたが、反対にデメリットにもなり得ます。
それは軽すぎることで風で倒れる危険性があるということ。もしくはうっかり当たって倒してしまうこともあります。
私もうっかり足で蹴り倒してしまったことがあり、その時は土がこぼれてしまった為再度植え込み直しました。1つくらいならなんて事はないですが、風によっていくつも鉢が倒れてしまっては大惨事です。
その為、沢山の鉢をスリット鉢で管理するにはシステムトレーなどの管理しやすいものが必要になってきます。価格は安いので使う際はセットで購入をお勧めします。
デザイン性
植物の生育が第一ですが、やはりインテリアとしていろんな鉢で楽しみたい方には不向きです。
鉢にはいろんな種類がありますし、数は必要なく好きなものだけを厳選して楽しみたい方は別の鉢に植え替えて楽しむべきです。下記の記事でいろんな種類を紹介していますのでぜひ参考にしてみてください。
個人的には全部スリット鉢で揃えているのも業者感というか玄人っぽくて好きですけどね(笑)
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スリット鉢はこんな人にオススメ
スリット鉢はこんな方にオススメです。
大量に管理する・実生する
植物の生育環境を整えたい
玄人っぽさを出したい
コスパを求める
以上のことに該当する人は、スリット鉢は間違いなく最強です(私的に)。
あくまでも個人の感想ですが、植え替えの季節にでも鉢選びの参考にしてみてくださいね。その時は色も含めて検討してみてください。